タグ別アーカイブ: 滅菌

医療用切削加工プラスチック素材の滅菌処理耐性

 

844918_70721097.jpg

プラスチック製の装置や要素部品であっても、他の医療用器具・装置と同様に、徹底的に滅菌処理を行い、細菌類、ウィルス、藻類、それらの胞子など、生存している全ての微生物を確実に破壊する方法を採る必要があります。

DIN EN 285規格に定められているように、滅菌処理を施す対象の全ての表面を134℃の水蒸気を3分以上暴露させなくてはなりません。オートクレーブ処理(蒸気滅菌処理)は、あらゆる滅菌処理法の中で最も安全かつ、安価な方法です。しかしながら、134℃という比較的高温の処理を必要とするため、耐熱性が低く、加水分解しやすい一部のプラスチック素材には、適応することができない滅菌方法です。

耐性有り:PEEK、PPSU、ウルテム(PEI)、医療用POM、医療用PPなど

耐性無し:UHMW-PE、PE、一般PP、PC、PET、ナイロンなど

水蒸気を含まない乾燥空気で滅菌する場合は、対象を180℃で30分以上暴露します。しかし、180℃以上の温度環境でも死滅しない微生物が存在し、滅菌効果に対する不確実性が存在することから、現在ではこの方法を用いることはほとんどありません。

過酸化水素プラズマ滅菌法は、あらゆるプラスチックスに適した方法です。しかし、その反面でコストが高く、精密装置を必要とします。反応性の高い水酸基と水酸基ラジカルを利用するため、わずか45℃に加熱し、45〜80分間処理するだけで微生物を全滅させます。低温で行うことができるので、温度による影響を受けやすい素材に適しています。また、プラズマは換気により容易に除去でき、金属部品の腐食の心配もありません。さらに、毒性残留物も発生しないので、換気の為の時間を最小限にすることができます。

ホルムアルデヒドや酸化エチレンなどの殺菌性ガスを利用する滅菌方法は、必ず48〜60℃の温度範囲で行います。こちらも、比較的低温で行うことのできる滅菌処理であるため、温度による影響を受けやすい素材に適した滅菌方法です。ホルムアルデヒドは、酸化エチレンと同程度の効果を発揮しますが、酸化エチレンよりも毒性が低いので、殺菌性ガスの換気時間を短縮することが可能です。両者とも主に使い捨て器具に対して用いられることが多い滅菌方法です。

照射による滅菌処理は、ほぼ全てのプラスチックに適した、滅菌処理に伴う影響が極めて少ない方法です。この方法では、ガンマ線あるいは高加速電子線のいずれかを利用します。この処理方法は、コストが高く、種々の機器を使用する必要があることから、主にシリンジなどの産業規模の使い捨て製品の滅菌処理法として採用されています。

4e063afbaf03ae27aba149c0986ac760.jpg

シリーズで公開している医療用プラスチック素材。こちらを一冊に情報を整理した冊子がございます。

11

画面の指示に従って、記入項目をご記入戴きますと、27ページからなる小冊子のPDFファイルをダウンロードできます。

医療用プラスチック素材の関連記事バックナンバー

  1. 医療用プラスチック素材#1: 概論
  2. 医療用プラスチック素材#2:用途例1
  3. 医療用プラスチック素材#3:用途例2
  4. 医療用プラスチック素材#4:用途例3
  5. X線造影グレード:XROシリーズ
  6. 医療用PEEKグレード
  7. (切削加工用)TECAPEEK CLASSIX™
  8. 抗菌グレード
  9. TECATEC™
  10. 医療用切削加工用素材の耐薬品性
  11. 医療用切削加工プラスチック素材の滅菌処理耐性
  12. 医療用切削加工プラスチック素材の品質保証
  13. 医療用切削加工プラスチック素材の規制項目
  14. 生体適合性とは何ですか?
  15. 切削加工用プラスチック素材に求められる生体適合性試験とは?
  16. インプラントとして使用可能ですか?
  17. MTグレード(医療用グレード)のトレーサビリティは?
  18. 製品に印字されているコード用インクの安全性は?

医療用プラスチック素材#4:用途例3

 

エンズィンガーの医療用プラスチック素材(MTグレード)は、厳しいFDAの要求事項を満たした原料を用いて製造されており、定期的に切削加工用素材そのものの生体適合性試験を実施しています。

生体適合性と各種滅菌処理に対する優れた耐性を備えているため、医療・医薬品業界でのご使用に最適な製品です。

弊社は、数十年間の医療技術の様々な分野における知見をお客様にご提供するよう努めています。当社の専門家は、あらゆる特殊な諸要件を適切に考慮して、具体的な用途への最適なソリューションを提供しています。弊社は、お客様の開発の成功をサポートする基盤として、具体的な用途に指向したプロジェクト管理を行っています。

Grip_and_head_TECAPEEK_MT_MT_SG_XXX.jpg

歯石除去装置や歯科充填剤硬化装置に使用する素材は、滅菌処理を繰り返し行う、最も厳しい滅菌処理耐性が要求されます。弊社の吸引・洗浄ハンドル用プラスチック素材は、生理学的に無害であると同時に、繰り返しの滅菌処理に対する耐性を備えています。

TECAPEEK CLASSIXTM製の歯科ヒーリング・キャップ(Dental Healing Cap)は、最長30日間の使用が可能です。さらに場合によっては最長180日間の使用も可能です。

MT_ZF_288_Dental_healing_caps_1_TECAPEEK_CLASSIX.png

レントゲン撮影を用いてヒーリング・キャップの位置を確認しながら治療行為を行う場合は、X線造影剤を添加したTECAPEEK CLASSIXTM XROが最適です(XRO=X Ray Opaque)。

Dentists_chair_TECARIM_MT_GUSS_xxx_komplett.jpg

器具ホルダーが付属した歯科用治療椅子など、細かい位置調整が必要な製品についても、大型の工具を使用してRIM成形の大型素材、TECARIMを利用して製造できます。プラスチックの成形時に要する圧力を少なくすることができるので、内部応力歪みが極めて少ない成形品を得ることができます。さらにこの成形方法を採用することにより、射出成形よりも肉厚の大きい製品の製造が可能になります。

Container_TECAPRO_MT_MT_ZF_028_A.jpg

ほとんどの医療用製品は、診断後、治療後に滅菌処理を行い、繰り返し使用します。滅菌容器用の素材として非常に適したものに、真空成形用TECASON P VFシートや、切削加工に供するTECAPRO MT、TECASON P MTなどがあります。

 

なかでもTECAPRO MTは、各種洗浄剤や殺菌剤の耐性、加水分解や134℃の加熱・加圧蒸気滅菌に対する耐性を有しています。加えて比重が0.92と低いことから、非常に軽量な滅菌容器・トレーを製造することができます。さらに、特に触感が良く、切削加工性に優れ、ソリを生じにくく、生体適合性を有していることから、現在進行中である金属材料からプラスチック材料への転換をさらに加速させる要因となっています。

p13_teapro_mt-1.jpg

シリーズで公開している医療用プラスチック素材。こちらを一冊に情報を整理した冊子がございます。

ダウンロードボタン

画面の指示に従って、記入項目をご記入戴きますと、27ページからなる小冊子のPDFファイルをダウンロードできます。

医療用プラスチック素材の関連記事バックナンバー

  1. 医療用プラスチック素材#1: 概論
  2. 医療用プラスチック素材#2:用途例1
  3. 医療用プラスチック素材#3:用途例2
  4. 医療用プラスチック素材#4:用途例3
  5. X線造影グレード:XROシリーズ
  6. 医療用PEEKグレード
  7. (切削加工用)TECAPEEK CLASSIX™
  8. 抗菌グレード
  9. TECATEC™
  10. 医療用切削加工用素材の耐薬品性
  11. 医療用切削加工プラスチック素材の滅菌処理耐性
  12. 医療用切削加工プラスチック素材の品質保証
  13. 医療用切削加工プラスチック素材の規制項目
  14. 生体適合性とは何ですか?
  15. 切削加工用プラスチック素材に求められる生体適合性試験とは?
  16. インプラントとして使用可能ですか?
  17. MTグレード(医療用グレード)のトレーサビリティは?
  18. 製品に印字されているコード用インクの安全性は?

次亜塩素酸ナトリウムに対して耐薬品性のある樹脂素材を教えてください

 

Chemical

Question
洗浄工程で、次亜塩素酸ナトリウムを使用することになりました。現在POM(ポリアセタール)樹脂を使用していますが、次亜塩素酸ナトリウムに対する耐性はないと聞きました。
次亜塩素酸ナトリウムに対して耐性のある樹脂素材は、どのようなものがありますか?

Answer
はい、残念ながらPOM(ポリアセタール)樹脂は次亜塩素酸ナトリウムに対して耐性がございません。
代替として、耐性のある代表的な樹脂素材は以下のものが挙げられます。

UHMWPEは、通常のPEよりも分子量が大きく、そのため耐薬品性が良好です。
食品製造ライン、食品製造機械向けにおいて採用されている素材です。
低コスト・低比重のため取り扱いのしやすい点も魅力です。
これまでPOM樹脂を使用していた用途で、さらに次亜塩素酸ナトリウムに対する耐薬品性が要求される場合に好適な代替素材です。

素材の詳細については下記のリンクからご覧ください。

  • UHMWPE(超高分子量ポリエチレン):TECAFINE PE

TECAFINE_PE_Ensinger_2017

———————————————————————————————————————————————————————-

なお、PE、PP樹脂以外で次亜塩素酸ナトリウムに対して耐性のある樹脂素材は以下になります。

耐薬品性以外に、素材コスト、耐熱性、機械特性など様々な要求特性がありますので、総合的なバランスを見て素材を選択されることをお勧めします。

各素材のサイズや、詳細の情報については以下のタブからご覧ください。
サイズ一覧カットサービス

ご質問・ご相談についてもお気軽にお問い合わせください。
box_c3_f2
box_c1 

次亜塩素酸ナトリウム(sodium hypochlorite、次亜塩素酸ソーダ)
食品製造用途で使用される機器の漂白洗浄に使用。

耐薬品性
プラスチック素材の耐薬品性データ。

エンズィンガーの食品製造ライン向け素材
PP以外にも、UHMWPEやPEEKなどを取り扱っております。