カテゴリー別アーカイブ: 9_技術解説

3Dプリンター向け高機能フィラメントの販売開始

 

この度デュッセルドルフにて開催された世界最大のプラスチック展:K 2016にて3Dプリンター(アディティブ・マニュファクチャリング)向けフィラメントを発表いたしました。

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成長著しいこの分野において、エンズィンガーはFFF方式向けフィラメントを提案いたします。長年にわたるエンズィンガーのプロファイル・チューブ異型押出技術と、様々なパートナーとのコラボレーションにより開発することができました。すでに市場で販売されているフィラメントと異なり、エンズィンガーは以下のような高耐熱・高機能樹脂素材を取り扱います。特に、PEEKフィラメント(一般工業用、医療用、炭素繊維グレード)をご提供できることになったことが、最大の特徴になります。

TECAPEEK natural (PEEK素材)
TECAPEEK MT natural (医療用PEEKグレード)
TECAPEEK CF30 black (強化PEEKグレード:30%炭素繊維配合)
・TECAPEI natural (PEI素材)
・TECASON P natural (PPSU素材)
・TECASON S natural (PSU素材)
・TECASON E natural (PES素材)
・TECAFLON PVDF natural (PVDF素材)
・TECAFORM AH SD natural (帯電防止POM素材)
・TECAMID 12 ELS black (導電性ナイロンPA12素材)
・TECABLEND ABS + PC (PC/ABS素材)

サイズは1.75mm, 2.85mmの2種類にて展開します。

これらのフィラメントは、以下のドイツ製3Dプリンターにて使用することが可能です。フィラメントとあわせて3Dプリンターのご購入を検討されるのでしたら、まずはSTLファイルにてサンプルを作製いたします。物性や寸法精度などをご確認いただけます。(お気軽にエンズィンガージャパンにお問い合わせください。)

Apium Additive Technologies GmbH(前 Indmatec GmbH社)

  
(左から:Apium P220、 造型サンプル例、インプラントPEEK、炭素繊維配合PEEK)

精密部品を作製する際は、3Dプリンターにて造型後、切削にて後加工する場合があります。
エンズィンガーの切削加工部門では、この切削に対応した新たな加工技術を開発しており、それにより高い寸法安定性を実現することができます。

高機能フィラメントの詳細については下記よりお問い合わせください。

【カタログのダウンロード】
以下のダウンロードボタンよりPDFをご覧いただけます。

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お見積・ご質問・ご相談についてお気軽にお問い合わせください。
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押出成形品の物性と射出成形品の物性の違いについて

 

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押出成形、射出成形の成形方法の違いにより、機械物性に違いが生じてきます。
標準的なPEEK樹脂:ビクトレックス社のPEEK 450を例にとって比較してみましょう。
エンズィンガーのTECAPEEKは、このグレードを用いて押出成形しています。
射出成形品による物性値と押出製品による物性値を比較すると以下のようになります。

①TECAPEEK natural  PEEK樹脂 (ナチュラル品)
物性項目 射出成形品 押出成形品
比重
1.30
1.31
引張強度:MPa
100
116
引張弾性率:MPa
3600
4200
引張伸度:%
25
15
曲げ強度:MPa
160
175
曲げ弾性率:MPa
4100
4200

上記のように、ナチュラルのPEEK樹脂の場合は、押出成形品の方が良好な強度が得られます。

今度は、炭素繊維を30%配合したグレードで同じ比較をしてみましょう。

②TECAPEEK CF30 black  PEEK樹脂 + 30%炭素繊維強化
物性項目 射出成形品 押出成形品
比重
1.41
1.38
引張強度:MPa
240
122
引張弾性率:MPa
25000
6800
引張伸度:%
1.5
7
曲げ強度:MPa
350
193
曲げ弾性率:MPa
20000
6800

圧倒的に射出成形の方が強度が高くなっています。炭素繊維を添加したことによる補強効果が射出成形の方が大きく現れています。

樹脂の流動方向に繊維とポリマーが配向し、同じ向きで試験が行われます。
そのため、強い配向により引張強度が高くなる傾向にあります。

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射出成形では、高い圧力で金型内に樹脂を流動させるため、樹脂や添加剤の配向を生じます。特にガラス繊維や炭素繊維のようなアスペクト比の大きい添加剤を加えた場合は、流動方向による配向効果が大きくなります。

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プラスチック製品の異方性(方向により特性が変化すること)の原因は、樹脂と添加剤の配向です。図に示したのは、JISの引張試験片の金型図面です。射出成形では赤矢印で示した方向に樹脂が流動し、同じ方向に樹脂と添加剤が配向します。試験時の力かがかかる方向に補強されるため、良好な物性値を得ることが出来ます。基本的に、物性値が良くなる方向に配向した試験片が得られるようにデザインされています。

配向に加えて、樹脂は金型内で急速に冷却されるため、成形品の結晶化度は低くなる傾向にあります。結晶化度は、機械特性、電気特性等に影響を及ぼし、特に結晶化速度が遅いPET樹脂やPEEK樹脂で顕著に影響が見られます。

繊維やポリマーの配向はランダムになっています。
そのため引張強度は低くなる傾向にあります。

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押出成形は、射出成形と異なり、ゆっくりと連続的に成形する方法であり、流動速度が遅いため樹脂や添加剤の配向は緩和されやすく、等方性の素材に近づけることができます。

押出成形では、ゆっくりと固化させるので、結晶化度が高くなります。これにより剛性と強度が増加し、靱性がやや低下します。

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まとめると、成形方法の違いにより以下の傾向になります。
試験片の成形法の違いにより物性値が大きく異なります。

非強化品 非強化品 繊維強化品 繊維強化品
射出成形 押出成形 射出成形 押出成形
引張強度
引張弾性率
引張伸び
結晶化度
寸法安定性

 

エンズィンガーでは、PEEKをはじめとして、寸法安定性と強度に優れた押出素材を提供しています。詳細の特性については、以下のリンクよりご覧ください。

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(ご参考:PEEK樹脂についてはこちら

素材のサイズや、詳細の情報については以下のタブからご覧ください。
サイズ一覧カットサービス

ご質問・ご相談についてもお気軽にお問い合わせください。
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DIN EN 15860への移行に伴い、エンズィンガーでは、「押出素材」から切削加工によりテストピースを切り出し、物性項目を測定することになりました。従来の射出成型による測定値からの変更となるため、同じ製品であっても物性値が異なります。
こちらのDIN EN 15860に適合した物性表を以下に公開しております。

エンズィンガージャパンのホームページ
本社サイト

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押出成形法についての詳細は、以下の記事をご参照ください。

 

押出成形入門(4)〜溶融相の形状と配向について

 

押出された成形品は、外側から徐々に冷却されますが、内側は長い時間にわたって溶けたままの状態になっています。

 

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上図に見られる、溶融相が実際にどのようになっているのかを可視化したのが、次の写真です。

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これは、投入する樹脂の色を少しだけ変えて押出成形機に時間差で投入し、押出成形した丸棒の押出方向の断面の写真を撮ったものです。

模式図にあるように、固化した灰色の部分は押出機から離れるにつれて厚くなっていきます。写真で見られる色の薄い部分は、右側の上と下では幅が薄く、左側の流動先端では幅が厚くなっています。

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この写真に見られるように、全く均一に見える樹脂素材であっても、押出成形の際の樹脂の流れ、固まり方は一様ではありません。中心部分と外周部分とでは、固化の状態が異なります。

前述したように、中心部と外周部では樹脂の固まり方が異なります。その理由は樹脂の流れ方が全く違うためです。

  • 中心部は、流れが止まるところです。行き止まりの状態です。樹脂の流れは、海岸の波打ち際の状態に似ています。
  • 外周部は、川のように先へ先へと樹脂が流れているところです。樹脂の流れは、川のように、溶岩流のように流れています。

すなわち、樹脂を構成する分子の方向、すなわち配向が、

  • 中心部:押出方向に対して垂直方向
  • 外周部:押出方向に対して平行

になります。

非常に微細な部品を切削加工する際には、この配向の違いによる影響を受けることがあります。木工では木目の走る方向によって加工上の注意が必要なように、プラスチックの加工でもプラスチックの配向によって加工上の注意が必要になる場合もあります。

PEEK樹脂、ナイロン樹脂、PET樹脂、POM樹脂、PP・PE樹脂などの結晶性樹脂は、溶けた状態から固まる際に長い分子の一部が規則的な並び方をすることによる、「結晶化」という現象が見られます。「食塩の大きな結晶をつくる方法」と同じように、溶けた状態からゆっくりと結晶化が進行できるように、温度を徐々に下げて時間をかけるようにすることで、一般的に結晶化しやすくなります。

樹脂は、外側から冷却されて固化しますが、内側は長い時間溶けた状態を維持しています。従って、外側に行くほど冷却速度は速くなり、内側に行くほど冷却速度は相対的に遅くなります。このことにより、結晶化度は内側の方が外側よりも高くなります。

結晶性樹脂の様々な特性は、この結晶化度の違いによる影響を受けることがあります。また、射出成形と比較すると、押出成形の方が結晶化度が高くなります。

エンズィンガーの押出素材は、寸法安定性と強度に優れた、切削加工に最適な素材です。
機械強度に優れたPEEKやPEI、摺動性に優れたPOMなど、それぞれの素材の特性については以下のリンクよりご覧ください。

PEEK-TECAPEEK-plastics-720-0983
(ご参考:PEEK樹脂についてはこちら
(ご参考:その他の結晶性樹脂についてはこちら

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